アラフィフ旅マニア ブログ。神社仏閣、仏像、遺跡、御朱印、美術館と、ちょっと贅沢なリゾートをご紹介します。

早朝の東寺散策 その2

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御影堂(みえいどう)の生身供(しょうじんく)と東寺境内のご紹介

さて、本日も昨日に引き続き、東寺早朝散歩をご紹介します。

まずはYouTubeにアップしました、「早朝の東寺 境内の静けさ」をご覧ください。「春はあけぼの」ではじまる『枕草子』ではありませんが、春の早朝、空が徐々に明けてゆく様、鳥のさえずり、今咲かんとする花々・・・春って一年で一番好きな季節です。

特に東寺は古都を感じさせる五重塔があり、境内も広く清々しくてとても気持ち良い。今までバスで行ける先ばかり観光していて、今回訪れた東寺や西本願寺といった著名な寺院に足を向けていなかったことが悔やまれるくらい、素晴らしい経験でした。

私は今回5時半に起きて、サッと着替え6時前にホテルを出発したのですが、次回はもっと早く起きて、この後ご紹介する「御影堂」の生身供(しょうじんく)(6時~)に出席したいと思います! 旅行中は毎日日の出を拝むのが常ですが、7月は頑張って早起きせねば笑。

御影堂で朝参り

さて、東寺が「教王護国寺」であり、はるか昔に唐から新しい仏教である「密教」を携えて帰国した空海に、嵯峨天皇が与えた場所がこの東寺である、という話は昨日いたしました。

空海は密教「真言宗」を布教すべく、東寺境内の北西、築地で囲まれた一角に御影堂を建てられました。

御影堂では今も毎朝6時より、一の膳、二の膳、お茶をお供えする生身供(しょうじんく)が行われています。この生身供は、空海が唐より持ち帰った仏舎利を頭と両手にそっと授けていただく法要で、誰でも予約なしに参拝できるのだそうです。

予備知識なく、「人がたくさんいるなぁ」と思って寄って行ったところ、丁度朝参り=生身供(しょうじんく)が終わったところだったようです。善人男女が散開していきます。

「朝参りについて」とうう注意書きがありました。現在コロナの影響で堂内に入れるのは33名までとなっているようです。入れない場合は縁側からの御参拝。マスク着用と手指消毒は今ではもう基本ですね。

御影堂境内の写真です。東寺の大伽藍の中で、築地で囲われた独立した空間が少し不思議です。

この御影堂は国宝に指定されているのですが、ここは司馬遼太郎さんのお気に入りの場所だったようですね。ここに書かれている文章を見ると、確かに「ここ」から出発すべきだと、私も感じました。

国宝 西院御影堂
         司馬遼太郎
 私は毎年、暮から正月にかけて京都のホテルですごす習慣をもっている。訪ねてくるひとに、京都のどこかの寺をそのときの思いつきのままに案内するのだが、
たいてい電話での約束のときに、
-東寺の御影堂の前で待ちましょう。
 ということにしている。
 今日の寺々をある国は、やはり平安京の最古の遺構であるこの境内を出発点とするのがふさわしく、また京都御所などよりもはるかに古い形式の住宅建築である御影堂を見、その前にたち、しかるのちに他の場所に移っていくのが、なんとなく京都への礼儀のような気がして、そういうぐあいに自分をなじませてしまっている。空海に対する私の中の何事かも、こういう御影堂へのなじみと無縁ではないかもしれない。
       『古往今来』(中央文庫)
       『司馬遼太郎が考えたこと8』(新潮文庫)収録の「歴史の充満する地域」(昭和五十一年)
        より抜粋

こちらは住宅建築ということですが、とても美しい建物ですね。

「国宝秘仏不動明王護摩供修法所」と書かれています。弘法大師空海の念持仏だった不動明王は秘仏だけに誰も見たことがありませんが、この秘仏の御宝前で護摩が焚かれるさまを、ぜひ拝見したいと思います。

私は酉年生まれなので、守護仏が不動明王様なんです。週末に成田山新勝寺で、不動明王の護摩供養に参列できたのですが、素晴らしい体験でした。なかなか日常では経験できませんが、こうした儀式に参列することで、日常を見直す良いきっかけになると思います。

三面大黒天

御影堂のある西院の一角に、三面大黒天がありました。こちらも朝参りに参列した方がお参りをしていくお社のようです。

三面大黒天とは・・・大黒天は大地の神で、大地は糧を表し、土は槌で表され、それを振ると福寿円満が訪れます。毘沙門天は四天王の北方の守護神で、財宝を司る神です。弁財天はインドでは河の神で、弁舌、音楽、技芸上達の神です。
その三体の天神が合体したものが三面大黒天で、東寺大国堂にお祀りされているのは、お大師様作の像と伝えられています。我々の誓願をことごとく成満しお救い頂けるこの三面大黒天とご縁を結ばれ、無上の大功徳の霊験をお授かりください。
大黒天、毘沙門天、弁財天、三尊の御利益が一度に授かれます。

この三面大黒天様のお話は、丁度この本で読んだばかりだったのでとても驚きました。神様にお呼ばれしたのかもしれませんね。

食堂(じきどう)

西院 御影堂を出て、最初に目に入る建物が、この食堂です。

昨日ご紹介した通り、東寺の正門は南大門で、南から北にかけて、金堂、講堂、食堂と伽藍が並ぶのですが、この3つの伽藍は「仏法僧」を表しているのだそうです。

境内の南から北へ。金堂、講堂、食堂とまっすぐに大伽藍が並ぶ、この配置は、仏法僧ぶっぽうそうを表しています。金堂には本尊の「仏」、講堂は密教の教え「法」。そして、食堂が「僧」。生活のなかに修行を見いだす所です。

引用:東寺公式HP

こちらには納経所と御朱印の授与所があります。

夜叉神堂

食堂の前に、ちょっと気になる双子の御堂が並んでいました。

このお堂は、桃山時代の作で「夜叉神堂」といいます。
東にあるのが 雄夜叉で、本地文殊菩薩
西にあるのが 雌夜叉で、本地虚空現菩薩 が安置されています。

説明書きに曰く
 最初は南大門の左右に安置されていたが、旅人が拝まないて通ると忽ちその罰が当たったとされ、中門(現在の金堂前灯籠周辺の左右に移された。慶長元年(1596)中門倒壊の後、現在の小堂を建立して安置した。
 夜叉神像は弘法大師の御作とされ霊験甚だあらたかで、仏法守護を本誓となすとあり、歯痛を治してくださると親しまれている。

夜叉神堂の中央にたち、南大門方面を臨む。写真に写っているのは「講堂」です。

講堂

講堂はこの広い東寺のちょうど中心に位置し、同時に空海が伝えたかった密教の中心的建物にあたります。

空海は視覚的に密教を伝えようとしたようで、この講堂の中には素晴らしい立体曼陀羅の世界が広がっています。
写真を見るだけでもワクワクしてくる・・・! これは次回絶対に参拝しなければ。

東寺の立体曼陀羅の世界はこちらから

金堂

一番南側にある伽藍、金堂は東寺の本堂であり、「仏」を表しています。

金堂は国立の寺院にふさわしい荘厳な姿でつくられ、ご本尊は薬師如来。脇侍に日光菩薩、月光菩薩を従えています。

南大門(正門)

こちらが東寺の正門である、南大門です。

南大門の外、九条通りから門の中を覗くと、ご覧のように本堂である金堂の大伽藍が威風堂々と姿を現します。

南大門からみた、五重塔です。

正面の金堂を目指して、境内に入っていきます。

五重塔

境内に入って、すぐに右手に向かうと五重塔が目の前に迫ります。ただし、この五重塔があるのは有料ゾーンなので、早朝散歩では近くまで寄ることができませんでした。

夜桜ライトアップゾーン

これは慶賀門まで戻ってくる途中で撮影した、五重塔を含む有料ゾーンの写真です。すでに花がすべて落ちてしまっていますが、写真中央左寄りに移っている大木が有名な「不二桜」です。見ごろのときに来たかった・・・!

このエリア一帯が、夜桜でサイトアップされるのか機材があちこちに置かれていました。

見ごろは過ぎてしまいましたが、遅咲きの染井吉野が少し残っていましたよ。

次回は「『細雪』で谷崎が称えた、平安神宮の枝垂れ桜」です。

京都・滋賀Contents

01-石清水八幡宮 京都駅からのアクセス
02-「勝」の石清水八幡宮 昇殿参拝体験記
03-石清水八幡宮摂社、末社
04-石清水八幡宮帰路と展望台
05-京都伏見「鳥せい」本店でランチ
06-雨の伏見散策
07-史跡 寺田屋と外観
08-今も宿泊できる!?伏見 寺田屋内観
09-サクラテラスザ・ギャラリーNorth施設紹介
10-サクラテラスザ・ギャラリーSouth施設紹介
11-サクラテラスザ・ギャラリー スーペリアダブル宿泊記
12-サクラテラス・ザ・ギャラリー朝食
13-サクラテラス・ザ・ギャラリー夕食
14-日吉大社へのアクセスと 西本宮参道
15-日吉大社 西本宮 参拝記
16-日吉大社 宇佐宮 参拝記
17-日吉大社 白山宮 参拝記
18-日吉大社 三宮遥拝所と神輿収蔵庫
19-日吉大社 樹下宮、東本宮 参拝記
20-日吉大社 東本宮 参道
21-比叡山延暦寺 坂本からのアクセス
22-比叡山延暦寺 東塔エリア 参拝記
23-比叡山延暦寺 横川エリア 参拝記
24-比叡山延暦寺 西塔エリア 参拝記
25-早朝の東寺散策 その1
26-早朝の東寺散策 その2
27-メルキュール京都ステーション ホテル施設紹介
28-メルキュール京都ステーション ワーケーションスペース
29-メルキュール京都ステーション 宿泊体験記
30-メルキュール京都ステーション 朝食
31-メルキュール京都ステーション トラットリアM Kyoto
32-『細雪』で谷崎が称えた、平安神宮の枝垂れ桜
33-上賀茂神社の斎王桜
34-西本願寺 お西さんを知ろう!
35-西本願寺 早朝参拝のススメ
36-二条城 夜桜ライトアップーNAKED FLOWRS 2021ー桜ー 世界遺産・二条城
37-下鴨神社(賀茂御祖神社) 参拝記
38-京都グルメ編-出町ふたばの豆餅と加茂みたらし茶屋の加茂団子
39-京都グルメ編-焼肉 弘商店 京都駅西
40-京都グルメ編-中村藤𠮷のきつね抹茶うどんセット
41-京都土産2021春

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