アラフィフ旅マニア ブログ。神社仏閣、仏像、遺跡、御朱印、美術館と、ちょっと贅沢なリゾートをご紹介します。

比叡山延暦寺 東塔(とうどう)エリア 参拝記

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延暦寺発祥の地で、宗教的にも交通の面でも重要なエリア

無知で恥ずかしいのですが、「延暦寺」という一つの建物、敷地があると思っていた時期があります。その後、延暦寺が山全体に点在する約100ほどの堂宇の総称で、中心とする3エリアも距離がある・・・と知り、公共交通機関利用必須の私にはハードルが高く、京都の世界遺産は他すべてクリアしていたのに、延暦寺だけ長年保留状態となっていました。

2年ほど前に車で行く機会をいただけたので、早速巡拝に来たのですが、とにかく見るべきものがたくさんあって、その時は東塔、西塔の二つのエリアでタイムアップ! 源氏物語にでてくる「横川の僧都」のおられる場所に行きたかった・・・!と心残りになっていました。

今回、突然決めた訪問ではありましたが、比叡山に行くならばやってみたいことが二つありました。

  1. 前回未達の横川エリアに行ってみたい!
  2. 前回工事中だった、根本中堂をじっくり見てみたい!

さて、この二つの願いは叶ったのでしょうか?

1.については叶いました! 隅から隅まで堪能しました。

2.に関しては、状況が悪化していました笑。 工事の覆いでほとんど見えなかった・・・無念です。ただ、考え方をかえれば、こういう工事中でないとみられない修復の様子や屋根を上から眺める・・・等、悪いことばかりではなかったです。

古いものを護り、活かしていくのは費用の面でも人材の面でも苦労が多いものです。私も機会を見つけて、少しでも協力を続けたいと思います。

本日ご紹介する「東塔エリア」は、延暦寺を開いた伝教大師最澄が初めにお堂を作った記念すべき場所であり、現在もここが宗教・交通の両面での中心となっています。

東塔は延暦寺発祥の地であり、本堂にあたる根本中堂を中心とする区域です。

伝教大師最澄が延暦寺を開いた場所であり、総本堂根本中堂をはじめ各宗各派の宗祖を祀っている大講堂、先祖回向のお堂である阿弥陀堂など重要な堂宇が集まっています。

東塔地域には、延暦寺バスセンターがあり、比叡山山頂、西塔、横川地域へのシャトルバスや京都市内行きの路線バスに乗車することができ、また坂本ケーブルを利用して門前町坂本へ降りることもできます。

境内には、宿坊延暦寺会館があり、食事や宿泊、修行体験をすることもできます。

引用: 比叡山延暦寺公式HP

根本中堂へ

東塔エリアの入り口で巡拝券+国宝殿(1500円)を購入し、早速目的の「根本中堂」へ。現在工事中の為、根本中堂の御朱印は、向かいにあるプレハブの建物で授与されています。

根本中堂は長い坂道を下ったところにあるんですよね。このように坂道を下ってアクセスする寺社は、私が知っている範囲だと出雲大社と、皇室に所縁の深い御寺 泉涌寺ですね。どちらも格式の高い寺社ですね。

根本中堂とは・・・

延暦寺では三塔即ち東塔・西塔・横川にそれぞれ中心となる仏堂があり、これを「中堂」と呼んでいますが、東塔の根本中堂はその最大の仏堂であり、延暦寺の総本堂となります。本尊は薬師如来です。

延暦寺を開いた伝教大師最澄が延暦7年(788)に創建した一乗止観院(いちじょうしかんいん)が元であり、その後何回も災害に遭いましたが、復興の度に規模も大きくなりました。

現在の姿は徳川家光公の命で寛永19年(1642)に竣工したものです。ご本尊の前には、千二百年間灯り続けている「不滅の法灯」も安置されています。 建物は国宝に指定されています。廻廊は国重要文化財に指定されています。

引用: 比叡山延暦寺公式HP

「不滅の法灯」は、788年に最澄が根本中堂の前身である一乗止観院を建立した時に灯明をかかげて以来1200年間の長きにわたり一度も消えることなく灯し続けられているというもので、前回訪れた際には重厚感のある漆黒の闇の中に微かに浮かぶ上る灯が非常に印象深く、「完璧な状態でこの雰囲気に浸りたい」と思っての再訪でしたが・・・

根本中堂の修学ステージから見る工事の様子

明るく、近代的な工事現場での再会となってしまいました笑。工事現場も境内も写真NGですが、見学ルートの最後、この場所からは撮影OKと啓示されていたので、撮影させていただきました。

こちらは歩いてきた見学ルートを振り返った一枚。

こちらは、回廊屋根の吹き替えの様子ですね。平成の大改修の改修のポイントが公式チャンネルで公開されていました。これを見ると現在見ているものと大分印象も変わり、鮮やかに生まれ変わるようですね。

平成の大改修は2016年から10年かかる予定のようです。堂内に貼られたポスターが「平成28年~平成××年」と、すでに令和になっているのに、平成のままの表になっているところもあり、少し面白いなと感じました。

大講堂

根本中堂からほど近い場所に建つ「大講堂」。東塔エリアはバスセンターを中央に挟んで大きく二つに分かれています。

坂本ケーブルから登ってきたルート上にあるのが根本中堂、大講堂、国宝殿で、バスセンター向こうにあるのが阿弥陀堂と法華総持院東塔です。

昭和39年(1964)に山麓坂本の讃仏堂を移築したものです。本尊は大日如来で、その左右には比叡山で修行した各宗派の宗祖の木像が祀られています。

また、外陣には釈迦を始めとして仏教・天台宗ゆかりの高僧の肖像画がかかっています。国重要文化財に指定されています。

引用: 比叡山延暦寺公式HP

大講堂は前回ひどく並んだので、御朱印が大人気+木像と高僧の肖像画がたくさんある・・・という印象です。一つ一つ説明書きを読んでいくと、昔の高僧の人柄などが知れて興味深いです。

大講堂の前にある「鐘楼」は、開運の鐘 世界平和の鐘とも言われ、1回50円で誰でも突くことができます。私は三井寺の「三井の晩鐘」をつかせていただきましたが、どぅぅぅぅぅぅん———————————————という身体に響くような音と、いつまでも余韻が残ることに感動しました。これも体験しないとわからないことなので、ぜひ体験してみてくださいね。

国宝殿

国宝殿・・・名前から察するに、延暦寺に伝わる国宝がたくさん展示されている場所・・・と思っていました。実際に参観していたのに! なんという勘違い!

実はこの国宝殿は物体的な「宝」を見るだけの場所ではなかったのです。「こころ」を育てる場所でした。道理で「国宝少ないな」と俗物的な感想を抱いてしまったはずです。反省。その意図するところは、

「国宝殿」という名称は、伝教大師最澄が著わした『山家学生式』の中の「一隅を照らす。これ則ち国宝なり。」という言葉から名づけました。伝教大師は、「国宝」とは物ではなく、人の心であると述べています。参拝者の皆様に、延暦寺の文化財を通じて「こころ」を見直す場となることを願っています。

引用:比叡山延暦寺公式HP

三筆と名高い嵯峨天皇の「光定戒牒」や最澄の「天台法華宗年分縁起」は名筆で、国宝にも指定されています。こちらは必見ですね。

バスセンターと山菜うどん

東塔エリアのほぼ中央に、延暦寺バスターミナルがあり、ここが山中の各エリア、そして京都駅へ向かう交通の要所になっています。ここがシャトルバス、路線バすの乗り場です。

ロータリー向かいに見えている建物が「延暦寺バスセンター」の建物で、お土産屋さんとお蕎麦屋さんが入っています。

私はここに地図をもって「素人さんが迷っています」感満載で入っていったら、すかさず店員さんが声をかけてくださり、各エリアまでの行き方とバスの時刻表と、さらにはシャトルバスのフリーパス(1000円)の購入もここでできました! 皆さん親切で感激 !

コロナの影響で本数が減便していて、次のバスまで時間があったので「鶴喜そば バスセンター店」で遅めの昼食をいただくことにしました。山菜うどん(780円)。なぜだか門前だと山菜そばをいただきたくなります笑。身体が冷え切っていたこともあり、温かい出汁が身体に沁み沁みです。ご馳走様でした。

阿弥陀堂

実は今回の旅の目的が「横川エリア初参拝」だったので、場所が離れていた阿弥陀堂、東塔はスキップして横川へ向かってしまったんです。

ところが思った以上に順調に巡拝ができ、最後にバスセンターに戻ってきて30分ほど時間があったので、駆け足で阿弥陀堂に向かいました。

山は日が落ちるのが早いので、すでに夕方の気配が漂ってきました。

昭和12年(1937)に建立された、檀信徒の先祖回向の道場です。本尊は丈六の阿弥陀如来です。一般の方々の回向法要もしております。

またお堂の前には、水琴窟があり、美しい響きを聞くことができます。

引用:比叡山延暦寺公式HP

阿弥陀堂とバスセンターを繋ぐ石段の桜のつぼみが膨らんできていました。京都市内はすでに桜の季節を過ぎていましたが、やはり比叡山は2-3週間遅れという感じなのですね。桜の樹の下で見上げた空がほんのりピンク色に色づいて、とても奇麗でした。

この桜の辺りで、巡拝者と思われる女性と会話したのですが、「父の供養で山裾から導師と登ってきました」とお話しされていて、その時は意味が分からなかったのですが、この阿弥陀堂は「一般の方々の回向法要もしております」という御堂だったのですね。やっと腹落ちしました。

「阿弥陀堂」から「法華総持院東塔」を撮影しました。バランスの取れた美しい塔ですね。

阿弥陀堂と東塔を繋ぐ回廊です。朱塗りの回廊が夕陽を受けて美しく輝いています。

法華総持院東塔

昭和55年に阿弥陀堂の横に再興されました。伝教大師最澄は日本全国に6か所の宝塔を建て、日本を護る計画をされましたが、その中心の役割をするのがこの東塔になります。

本尊は大日如来をはじめとする五智如来が祀られており、塔の上層部には仏舎利と法華経が安置されています。

引用: 比叡山延暦寺公式HP

日本を守護する6つの宝塔の筆頭が、この「法華総持院東塔」。

この旅を通して、空海、最澄の名前をよく目にし、日本の仏教についてもっと知りたくなりました。その結果・・・「ブッダ」「阿吽」という漫画を大人買い!

漫画なのでフィクションも多いとは思いますが、建築物、芸術、生活様式に影響を与える思想そのものを知ることはとても興味深いですね。

次回は「比叡山延暦寺 横川エリア 参拝記」です。

京都・滋賀Contents

01-石清水八幡宮 京都駅からのアクセス
02-「勝」の石清水八幡宮 昇殿参拝体験記
03-石清水八幡宮摂社、末社
04-石清水八幡宮帰路と展望台
05-京都伏見「鳥せい」本店でランチ
06-雨の伏見散策
07-史跡 寺田屋と外観
08-今も宿泊できる!?伏見 寺田屋内観
09-サクラテラスザ・ギャラリーNorth施設紹介
10-サクラテラスザ・ギャラリーSouth施設紹介
11-サクラテラスザ・ギャラリー スーペリアダブル宿泊記
12-サクラテラス・ザ・ギャラリー朝食
13-サクラテラス・ザ・ギャラリー夕食
14-日吉大社へのアクセスと 西本宮参道
15-日吉大社 西本宮 参拝記
16-日吉大社 宇佐宮 参拝記
17-日吉大社 白山宮 参拝記
18-日吉大社 三宮遥拝所と神輿収蔵庫
19-日吉大社 樹下宮、東本宮 参拝記
20-日吉大社 東本宮 参道
21-比叡山延暦寺 坂本からのアクセス
22-比叡山延暦寺 東塔エリア 参拝記
23-比叡山延暦寺 横川エリア 参拝記
24-比叡山延暦寺 西塔エリア 参拝記
25-早朝の東寺散策 その1
26-早朝の東寺散策 その2
27-メルキュール京都ステーション ホテル施設紹介
28-メルキュール京都ステーション ワーケーションスペース
29-メルキュール京都ステーション 宿泊体験記
30-メルキュール京都ステーション 朝食
31-メルキュール京都ステーション トラットリアM Kyoto
32-『細雪』で谷崎が称えた、平安神宮の枝垂れ桜
33-上賀茂神社の斎王桜
34-西本願寺 お西さんを知ろう!
35-西本願寺 早朝参拝のススメ
36-二条城 夜桜ライトアップーNAKED FLOWRS 2021ー桜ー 世界遺産・二条城
37-下鴨神社(賀茂御祖神社) 参拝記
38-京都グルメ編-出町ふたばの豆餅と加茂みたらし茶屋の加茂団子
39-京都グルメ編-焼肉 弘商店 京都駅西
40-京都グルメ編-中村藤𠮷のきつね抹茶うどんセット
41-京都土産2021春

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