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日吉大社 樹下宮、東本宮 参拝記

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山の神、大山咋神を祀る東本宮と妃神 鴨玉依姫神を祀る樹下宮

さてようようと東本宮に到着しました。日吉大社は見どころが多く、境内も清々しい気に満ち溢れていて、時間を忘れて過ごすことができます。

西本宮は都の鬼門守護のため、大神神社から勧請された大己貴神を祀っていましたが、東本宮は山の神として名高い、大山咋神(おおやまくいのかみ)の和魂を祀っています。比叡山の土地神様でもありますね。

大山咋神は「古事記」の中で「淡海国(おうみのくに)日枝(ひえ)の山に鎮座しまた葛野(かづの) の松尾山に鎮座し鳴鏑(なりかぶら)を御神体とする」と記されています。

淡海国(おうみのくに)日枝(ひえ)の山は、この初王子山(牛尾山)で、金大厳の磐座、そして牛尾宮に鎮座されていたと考えられています。

ちょっとややこしいですが、大山咋神の妃神鴨玉依姫神は樹下宮と山頂の三宮に鎮座されている・・・両神とも山頂と麓にお祀りされているのですが、それぞれの関係は下記の通りです。

大山咋神神鴨玉依姫神
山頂牛尾宮(荒魂)三宮(和魂)
東本宮(荒魂)樹下宮(和魂)

東本宮エリアで最も重要なのは、この東本宮と樹下宮だと思いますが、注目すべきはその配置なんです。樹下宮は東本宮の参道をまたぐような形で、拝殿、本殿が作られているんです。本来拝殿から本殿を結ぶ方向に、敬うべき神様が鎮座されている・・・と考えると、樹下宮は八王子山に向かって(西)拝む形になるんですよね。そして本殿下に霊泉がある。これはこの地にお社がつくられた何よりの理由になるので納得なのですが、東本宮は北に向かって拝む。夫婦神様であり、山頂の二社は仲良く並んでいるにも関わらず、麓の里宮は違う方向を向いていらっしゃる・・・私的にはこの配置はすごく謎に満ちていて、妄想を掻き立てられます。こういうミステリーって大好き!

ちなみにこの東本宮は織田信長の焼き討ちで焼失し、現在の社殿は文禄4年(1595)に再建されたものだそうです。いや~それにしてもこの日吉大社の建物はどれも保存状態が素晴らしい! 見ごたえがあって幸せな気持ちになりました。

東本宮 楼門と東授与所

説明書きに曰く
この楼門は、三間一戸楼門の形式で、入母屋造、檜皮葺、縁付きの建物で、斗栱は上下層とも三手先となっています。三間一戸とは、柱間三つのうち中央の一つが出入り口となっているものをいい、楼門とは、二階造りの門で、屋根が二階部分だけにしかなく、一階の上に縁がある形式をいいます。
西本宮楼門とは、やや違った比例を持っていて、どちらかといえば一階部分が高く、二階部分が低いのですらりとした均斉のとれた建物で、天正~文禄二(1573~1593)年頃に建てられたものです。
 大正一二年(1923)年三月に国の重要文化財に指定されました。

摂社 樹下神社 配置

手前に見えている二社は、右が拝殿、左が本殿です。そして中央奥に見えているのが東本宮の拝殿です。

上に説明で「参道をまたぐように」と書きましたが、この中央にある参道を挟んで、右の拝殿はこの写真で言う左(西)に向かって拝む形となります。そして本殿は右(東)に向かって建っています。ね、不思議な配置でしょ?

摂社 樹下神社拝殿

樹下宮の拝殿では、山王祭の写真店が開かれていて、勇壮な祭りの姿を垣間見ることができました。

説明書きに曰く
この拝殿は、桁行三間、梁間三間、一重、入母屋造、妻入り、檜皮葺の建物です。
方三間といわれる拝殿ですが、他とは、柱間が四方とも格子や格子戸となっている点が異なっています。屋根の妻飾りは木連格子、天井は小組格[天井、回り縁は高欄付きとなっていて、本殿と同じく文禄四(1595)年に建てられたものです。
なお、樹下神社の拝殿と本殿を結ぶ線と、東本宮の拝殿と本殿を結ぶ線が交わるのは、珍しいものです。
 昭和三九(1964)年5月に国の重要文化財に指定されました。

摂社 樹下神社本殿

日吉大社は湧水の豊かな地ですが、この本殿の下に霊泉が湧き出しています。もともとこの霊泉を護るように建てられたお社なのかもしれません。

説明書きに曰く
この本殿は、三間流造、檜皮葺の建物で、後方三間・二間が身舎、その前方一間通しの廂[ひさし]が前室となっています。
数ある流造のなかでも比較的大型のもので、床下が日吉造りと共通した方式であることや、向拝階段前に吹寄格子の障壁をたてているのは本殿の特色となっています。
文禄四(1595)年に建てられたことが墨書銘によってわかりますが、細部の様式も同時代の特色をよく示し、格子や破風、懸魚などに打った飾り金具は豪華なものです。
 明治三九年(1906)年4月に国の重要文化財に指定されました。

御祭神 : 鴨玉依姫神(かもたまよりひめのかみ) 旧称 十禅師
ご利益 : 安産、子育て、水の神
「東本宮」の大山咋神と夫婦の神様です。神体山・八王子山を拝むようにして建ち、床下には霊泉湧き出る井戸があります。

樹下若宮(じゅげわかみや)

御祭神 : 鴨玉依彦神(かもたまよりひこのかみ) 旧称 小禅師
ご利益 : 学芸上達

創立は桓武天皇の時代、延歴年中と伝わります。
山王二十一社の内、下七社の一つで、樹下宮・鴨玉依姫神の兄妹神です。

東本宮 拝殿

この拝殿は段差があるところに作られていますね。東本宮は樹下宮より一段高いところに建っています。

説明書きに曰く
拝殿は、本殿の前に独立する方三間(桁行三間、梁間三間)一重、入母屋造、檜皮葺妻入の建物です。
四方の柱間は吹放しで屋根の妻飾り(屋根の三角部分)には木連格子(縦横の細かい格子)を入れています。
また廻縁には高欄がつき、天井は小組格天井となっています。
「文禄五年三月吉」の墨書がある天井の格縁が一本残されていて、一五九六年頃の建築であることがわかります。
昭和三十九年五月二十九日に国の指定文化財となりました。

東本宮 本殿

朱塗りの高欄が印象的な、東本宮本殿。

こちらは本殿側面から、樹下宮、楼門に向かって撮影したもの。一番手前が本殿、次が東本宮拝殿、左手の木の陰に見えるのが樹下宮拝殿、一番奥に見えるのが東本宮楼門です。

ちょっと珍しい、背面から撮影した東本宮本殿です。この本殿は昭和36(1961)年4月国宝に指定されています。

説明書きに曰く
この本殿は、桁行五間、梁間三間、日吉造檜皮葺の建物です。
日吉造は、一名を聖帝造といい、三間・二間の身舎[もや]の前面、両側面の三方に庇がめぐらされた形をし、側面、背面が特徴のあるものとなっています。この様式は、全国でも日吉大社にのみ現存している形で重要なものです。
東本宮本殿は、西本宮とほぼ同様の造りですが、背面の三間の床が一段高くなっているのは、異なるところです。
文禄四(1595)年に西本宮本殿に引き続いて復興された日吉造の代表建築です。

御祭神 : 大山咋神(おおやまくいのかみ) 旧称 二宮、小比叡
ご利益 : 学芸上達

比叡山の地主神です。「御鎮座古けれど社なし」という伝承があり、社殿が出来たのは西本宮の御鎮座(688)以降です。
712年成立の『古事記』神話に
 「近つ淡海國 日枝山に坐す・・・鳴鏑(=音を出して鳴る矢)の神と記されています。

亀井霊水(かめいれいすい)

樹下宮のすぐそばにある亀井冷水。

昔、ここには池があり、伝教大師参拝の折、霊亀が現れた。占いによりここを閼伽井(仏様に捧げる水を汲む井戸)となし、「亀井」と名付けられた。最名水也
「日吉山王権現知新記」

新物忌神社(しんものいみじんじゃ)

こちらは大山咋神の母神様・・・兄妹、母親・・・と、家族仲良し!笑

御祭神 : 天知迦流水姫神(あめちかるみづひめ) 旧称 新行事
東本宮・大山咋神の母神様、大年神の妃神様。
御名から「水の神・瑞々しく美しい神様」と言われています。

大物忌神社

「家族仲良し」と言っているそばから、父神様もいらっしゃいました!

御祭神 : 大年神(おおとしのかみ) 
東本宮の御祭神である大山咋神の父神様をお祀りしています。
お猿さんの顔をした神様で、そのお姿は、山王曼荼羅にも描かれています。

稲荷社(いなりしゃ)

御祭神 : 宇迦之御魂神(うかのみたまのかみ) 
ご利益 : 稲の神、五穀豊穣、殖産興業、商売繁盛

二宮竈殿社(にのみやかまどのしゃ)

こちらも大山咋神の兄弟神様。

御祭神 : 興津彦神(おきつひこのかみ)、興津姫神(おきつひめのかみ) 
ご利益 : 家庭守護、調理上達、火防

二宮(東本宮・大山咋神)の食事・調理を司る神。山王二十一社の内、下七社の一つです。
大年神と天知迦流水姫神の御子神で、大山咋神の兄弟神です。

内御子社(うちみこしゃ)

御祭神 : 猿田彦神(さるたひこのかみ) 
ご利益 : 開運招福

天孫・瓊瓊杵尊が地上に降臨された際に、お迎えをした「導きの神様」です。
芸能の神・天鈿女命(あめのうずめのみこと)とは夫婦神です。
天狗のような大きな長い鼻が特徴です。

日吉雌梛(ひよしめなぎ)、日吉雄梛(ひよしおなぎ)

本殿近くにある、「日吉雌梛」は、
男性が女性の幸せを祈る木。ナギは「薙ぎ払う」に通じ、災難除を象徴する。

楼門近くにある、「日吉雄梛」は、
女性が男性の幸せを祈る木。ナギは「凪ぐ」「和む」に通じ、夫婦和合を象徴。

・・・と、東本宮はとても夫婦愛、家族愛に満ちたお社でした。最後の雌・雄で「ナギ」の意味が微妙に違うのもツボです。心がほんわかしてきます。

次回は「日吉大社 東本宮 参道」です。

京都・滋賀Contents

01-石清水八幡宮 京都駅からのアクセス
02-「勝」の石清水八幡宮 昇殿参拝体験記
03-石清水八幡宮摂社、末社
04-石清水八幡宮帰路と展望台
05-京都伏見「鳥せい」本店でランチ
06-雨の伏見散策
07-史跡 寺田屋と外観
08-今も宿泊できる!?伏見 寺田屋内観
09-サクラテラスザ・ギャラリーNorth施設紹介
10-サクラテラスザ・ギャラリーSouth施設紹介
11-サクラテラスザ・ギャラリー スーペリアダブル宿泊記
12-サクラテラス・ザ・ギャラリー朝食
13-サクラテラス・ザ・ギャラリー夕食
14-日吉大社へのアクセスと 西本宮参道
15-日吉大社 西本宮 参拝記
16-日吉大社 宇佐宮 参拝記
17-日吉大社 白山宮 参拝記
18-日吉大社 三宮遥拝所と神輿収蔵庫
19-日吉大社 樹下宮、東本宮 参拝記
20-日吉大社 東本宮 参道
21-比叡山延暦寺 坂本からのアクセス
22-比叡山延暦寺 東塔エリア 参拝記
23-比叡山延暦寺 横川エリア 参拝記
24-比叡山延暦寺 西塔エリア 参拝記
25-早朝の東寺散策 その1
26-早朝の東寺散策 その2
27-メルキュール京都ステーション ホテル施設紹介
28-メルキュール京都ステーション ワーケーションスペース
29-メルキュール京都ステーション 宿泊体験記
30-メルキュール京都ステーション 朝食
31-メルキュール京都ステーション トラットリアM Kyoto
32-『細雪』で谷崎が称えた、平安神宮の枝垂れ桜
33-上賀茂神社の斎王桜
34-西本願寺 お西さんを知ろう!
35-西本願寺 早朝参拝のススメ
36-二条城 夜桜ライトアップーNAKED FLOWRS 2021ー桜ー 世界遺産・二条城
37-下鴨神社(賀茂御祖神社) 参拝記
38-京都グルメ編-出町ふたばの豆餅と加茂みたらし茶屋の加茂団子
39-京都グルメ編-焼肉 弘商店 京都駅西
40-京都グルメ編-中村藤𠮷のきつね抹茶うどんセット
41-京都土産2021春

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