先にも書きましたが、私の大学時代の専攻は日本文学です。小学校時代から読書が趣味で、数限りなく読んできた中で、どの作家が一番好きか、というと、川端康成かもしれません。川端康成の文章はいっさ暴力的なほどに美しい。快感を覚えるほどに多彩な語句で彩られて、それが装飾的なわけではなく、生き生きと生命力にあふれている。読んでいて恍惚とするほどの作家を他には知りません。
日本文学科ですから、毎年文学作品の舞台に足を運んでいた中で、特に気に入っていた場所が嵯峨にある「森嘉」さんです。最初は、嵐山にある大河内山荘内の食事処で3000円くらいの湯豆腐懐石をいただいていました。大学生にとってはその金額でも「えいや!」と気合を入れて楽しみにしている一大イベントでした。その大好きなお店は、社会人になってしばらく京都を訪れない間になくなってしまったんです。・・・湯豆腐難民・・・
さて、川端康成は京都を舞台とした「古都」の中で、「森嘉」の湯豆腐を登場させます。帯のデザインをするためにパウル・クレーの画集を父にプレゼントした主人公の千重子。その画集とともに嵯峨の尼寺に籠る父のもとに千重子は趣き、「お父さん、森嘉の湯豆腐をおあがりやすか。」と差し入れます。その話を帰宅後に母にすると、母は「森嘉のな?お父さん、およろこびやしたやろ。湯豆腐にして…?」と答えます。このシーンの印象がとても強く、大学生にもかかわらず、京都に行くと「森嘉」でお豆腐を買い、ホテルで食す・・・というディープな楽しみ方をしていました。個人的には、にがりではなくすまし粉(石膏)を使った森嘉オリジナルの嵯峨豆腐(443円)は必須で、下記限定のからし豆腐もお勧めです。ゆり根の入った飛龍頭(ひろうす)249円も美味しい。
森嘉の湯豆腐は嵯峨野、嵐山のいろいろな食事処で食べられますが、最近は「おきな」さん一択になっています。おきなさんは、いい意味で清濁併せ呑むという感じのお料理。湯豆腐メインのお店だとちよっと物足りないと感じることが多いのですが、こちらでは天ぷら、加茂茄子の田楽、味のしみた飛龍頭といった、うまみの幅が大きい料理も出てくるので満足度も高いです。去年伺ったときは湯豆腐定食3300円でした。ミシュラン一つ星をとっているのにコスパも良いです。湯豆腐難民から卒業させてもらったお店です。
今日のスケジュール
京都駅→大覚寺→「おきな」で「森嘉」の湯豆腐ランチ(今ここ)→清凉寺→「鍵善良房」でくずきりと都路里で初売り→京都駅→東京駅
移動方法
2020年1月13日(月)
大覚寺→嵯峨釈迦堂前バス停下車すぐ/市バス・京都バス一日周遊券600円
3日目のContents
1.大覚寺
2.「おきな」で「森嘉」の湯豆腐ランチ
3.清凉寺
4.「鍵善良房」でくずきりと京都のオススメのお土産
嵯峨 おきなへ
「おきな」へは、大覚寺発のバスで釈迦堂バス停でおり、わき道を入ってすぐ。一見民家のような落ち着いた建物です。
1階は、入ってすぐに個室、奥にカウンターがあるようです。初回、一人旅なのに個室に案内されてびっくりしましたが、すごく素敵なお部屋です。最近はもっぱら二階に案内されます。
二階への階段。なかなか急こう配です笑。この階段下にお手洗いがあります。
二階の座席はこんな感じ。コロナ前ですが、ゆったりとした座席配置で、この席数が二部屋分。畳が疲れた足に気持ちいい。
湯豆腐定食3300円は、左から天ぷら、ひろうす、田楽、しょうゆと薬味、奥に湯豆腐。湯豆腐はひとり2切れで、しょうがとねぎ、鰹節をのせ、しょうゆをかけていただきます。
ご飯とお吸い物、漬物、デザートのフルーツが出で来ました。どれも体が喜ぶ味。
お品書きです。この中ではやはり湯豆腐定食がお勧め・・・というか、それしか食べたことない笑。
お会計をしてご馳走様でした~からの振り返るとそこには・・・
嵯峨豆腐 森嘉の賑わい
道を挟んで斜め反対側が「森嘉」さん。私が大学生の頃通っていた時よりお店がきれいになりました笑。いつも他県ナンバーの車もたくさん停まっていて、いつでも大行列です。空いているときを見たことがない。
昔は文字だけでしたが、食品サンプル付のメニューになりました! いつも購入する嵯峨豆腐は好きすぎて、保冷バックを自宅から持参し、1丁がおよそ普通の2個分ある大きな嵯峨豆腐を4丁くらい購入してしまいます。自宅でもしょうがとねぎ、鰹節でいただきます。厚揚げやひろうすも煮物にするとおいしいですね。今回は大粒の納豆を購入しました。これも美味しかったです。
私にとって京都のお土産マストは、森嘉のお豆腐、都路里のほうじ茶と緑茶、西尾の生八つ橋です。今回もたくさんゲットしました!満足。
明日は、森嘉さんにほど近い、清凉寺をご紹介します。
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